エッセイ

ショパンのピアノソナタ第2番

「葬送行進曲」といえば、文字どおり、遺体を墓地まで運搬するときの行進曲ですが、日本で最もメジャーなのは、タンタタターン、タタ、タタタタターン (なかなか文字でメロディは表現しにくいですね)‥‥と、死神が舞い降りてくるような、ダメージをくらって…

「相手」を思い浮かべて行動すること

アメリカのテレビを、スカパー!などでよく観ています。先日は、アメリカ特有の問題を、心理学のテクニックで解決するという番組がありました。入口に近いからでしょうか、ショッピングセンターの障害者用駐車スペースが、いつも心ない人の車で埋まってしま…

いのちの電話のかわりに

僕が20代前半を過ごした家賃1万円の部屋には、住人である僕よりも大きく存在感のある印刷機が、ドン!とありました。それはアパート住人の共有物ではなく、ましてやこの部屋は何かの事務所でもなく、僕が友人から譲り受けた、れっきとした個人の所有物でし…

「戦場のメリークリスマス」をひさびさに観て

時代を越えて残るものは何か、を考えるのが、僕の好きなことです。たとえば「キネマ旬報ベストテン」というお目付役的映画雑誌の、公開年でのランキング。大島渚の「戦場のメリークリスマス」は、誰もが知っている日本映画屈指の名作ですが、公開年である198…

アインシュタインの相対性理論から考えたこと

アインシュタインは、相対性理論を導き出した物理学者として知られていますが、この理論には、<特殊>と、<一般>のふたつがあります。くわしい説明ははぶくと、<一般相対性理論>とは、おなじみのE=MC2、物質とエネルギーは、同じものであることを…

「鎮魂のソナタ」1番&2番

CDで、そのピアノ演奏を初めて聴いたとき、「ピアノを壊す気だ」と、思いました。もちろん、ピアノを壊すことが目的というわけではなく、ピアニストの腕力による力づくでもなく。音そのものの<エネルギー>によって、ピアノがバラバラになるのでは‥‥、と…

起死回生のアイディア「僕はここにいる」

二十歳前後の頃なので、もう二十年近く前になるのですが、友人との雑談でさらりと聞いた、誰のことかもわからないある話を、いまでもよく覚えています。 とある大学生の男子が、人通りの多い街の真ん中で、手作りのビラを配っていたという話です。 人を選ぶ…

《息子をサラリーマンにしない方法》

‥というタイトルの本が、実家の本棚にはずっと前からあり、いま思えば、僕は、この本の存在を感じながら、少年期をすごし、大人になっていたように思うことがあります。 たしか、著者は、作家にして元東京都知事の石原慎太郎で、現代でいう新書サイズのライ…

僕が唯一知り得たこととは

文章を書くようになった高校生の頃からずっと、ネタ帳を抱えて過ごしてきました。 かっこいい言い回しや言葉の意外な使い方など、「書く」ために必要だと思われるもろもろを、チャック付きの大型手帳に書き留め(もはや手帳とはいえないほどのサイズでしたが…

人類が獲得した「眼」の構造

我が家ではハムスターを2匹飼っており、娘はよく手のひらにのせて遊んでいます。 とってもかわいいハムちゃんたちではありますが、間近で見ると、黒目がないことがわかります。黒目がないと、どこを見ているのかわからないわけですが、調べてみたところ、こ…

本当にやりたいことが、出てくるということ

時間割も授業もなく、さらにはテストも、クラスも学年もなく、ただ「子どもが、やりたいことしかやらせない」という、学校があります。 サドベリースクールというアメリカ発祥の学校で、ベストセラー作家の本田健さんが娘をこの学校に入れるために、ボストン…

見慣れてしまった「太陽の塔」が

月に何度となく、岡本太郎の「太陽の塔」でおなじみの、万博公園(大阪府吹田市)へと足を運んでいます。 ちなみに、僕の目的はサッカー観戦(Jリーグ)で、試合のたびに全国各地から相手チームのサポーターたちを見かけるわけですが、彼らが試合の終わりに…

一行という制約の中で

最近、「わすれないこと」というタイトルで、一行詩を少しずつ書きすすめています。幼い頃などの、印象的ないち風景を思い出して、一行という制約の中で、詩のような文章にするというものです。 たとえば、三歳のとき、家の前で遊んでいるうち、ふらふら歩い…

《脱線する》ことが‥

『奇跡の教室』(小学館)という本があります。 戦後、公立のすべり止めだった灘校で、文庫本『銀の匙』だけを3年間かけて読むという、空前絶後の授業を始めた国語教師の授業のことをまとめたノンフィクションです。 ごく最近もテレビ番組で紹介されたので…

近所の駅前をぐるぐるとジョギング

夜、運動不足解消のために、近所の駅前をぐるぐるとジョギングするのが日課になっています。いえ、じつは、ジョギングとは言っても、「走る」と「歩く」の中間くらいの速度で、街をうろうろしているような感じなのですが、駅前のプチ飲み屋通りからの流れで…

学校帰りの映画館

僕が高校生だった当時は、シネコンというものはなく、故郷・富山市のさびれた繁華街(矛盾しているようですが、街いちばんの繁華街がさびれているのです)昔ながらの映画館が点在していました。高校生の僕は、まるで部活動のごとく、授業が終わると映画を観…

近所のおいしいパンやのはなし

会社で働く人にとって、お昼ご飯をどうするかは、日々のテーマだと思うのですが、私たちホノカ社では、外食、事務所で自炊に加えて、近所のパン屋で購入というローテーションです。したがってこの十年ばかり、あちこちのパンを食べてきたわけですが、ぱくり…

最後の最後に消える原動力

文章を書いていると、いつも不思議に思うことがあります。「これを使うために書き始めた!」といっていいほどのお気に入りのフレーズが、いざできあがって読み返すと、どうも収まりが悪く、最終的に削除しちゃうというケースが何度もあるのです。原動力その…

僕の場合、クレアオーディエンス派

クレアボヤンス(はっきり見る=透視) クレアコグニザンス(はっきり知る=霊知) クレアセンティエンス(はっきり感じる=霊感) クレアオーディエンス(はっきり聴く=透聴)この「クレア」ではじまる4つの言葉は、それぞれ、超感覚を意味します。たとえ…

現実的な効果があるプレゼント

深夜まで編集仕事をし、そのまま夜が明けて、朝のニュースを観ながら眠りにつく日々ですが、その時間帯のニュースで知ったことに、タイラー基金という団体が行っている「ビーズ・オブ・カレッジ・プログラム」があります。小児がんの子どもたちたちが、治療…

「賭博黙示録カイジ」の顔のはなし

男性マンガ雑誌の話なのですが、いま僕が、「よく考えれば、これはすごいんではないか」と思っているものが、ベストセラー漫画『賭博黙示録カイジ』の、主人公の顔です。漫画界ではもはや伝説的な作品であり、映画化もされたので、すでにご存じの方も多いか…

なぜか運がよい同級生のこと

小学生時代、中学生時代を思い起こせば、なぜか運がよい同級生がいました。運がよい、とはちょっと的を得ていない表現なのですが、とくに性格が良いわけでもなく、頼りがいがあるわけでもないのに、常に友達には困らず、担任の先生からもあだ名で呼ばれたり…

親の影響とは無関係に?

今年も、本づくりに力を注いだ一年でした。うちの父母は、会社員と専業主婦なのですが、いま思えば、本ばかり読んでいる父と母を見て育ち、二人の本が入り乱れている居間の大きな本棚を眺めながら、僕は大きくなったように思います。一冊、本を読むたびに<…

自分の常識だけでは判断しない

僕自身、「自分の常識だけでは判断しない」ようにすることを、ポリシーとしています。そのベースとなったのは、幼い頃からの親の教育‥‥ではなくて、二十歳前後、アトピー性皮膚炎で苦しんだ経験でした。 もともと赤ん坊の時分から皮膚の弱い子で、手足の関節…

地球上の奇跡とたたえられる日本の美しい自然は‥

高校の頃、僕は社会科で「地理」を選択していたのですが、それは、世界最高峰の山々であるヒマラヤ山脈とは、インドがユーラシア大陸に激突して生まれたと知って、感動したのがきっかけでした。実際の「地理」の授業では、そんなダイナミックな驚きはまった…

部屋の2階3階4階の窓が!

写真家は、ほんとうに美しい景色を見たとき、写真を撮らない。 これは、自著の冒頭で書いた言葉ですが、この自分で考えた言葉と同じ<思わず写真を撮らない>という感覚を、つい最近、体験しました。パソコンでデザインをやっている方はよくご存じだと思いま…

校正の奥深さ

つくづく、校正という作業の奥深さには、驚かされます。複数の人間が何回も、ひょっとしたら何十回も読んでいるはずなのに、最初の一文の「思っている」が「思ている」になっていたり、表紙のタイトルの「MESSAGE」(メッセージ)が「MASSAGE」(マッサージ…

我が本棚のお気に入り書籍コーナーを公開

この一ヶ月ほど、本の制作にかかりっきりで、睡眠中でもパソコンのキーボードをえんえん叩いている夢を見るほどだったのですが、そんな僕の様子を見かねて、妻ますみが、「脳には、ぜんぜん関係ないことをやるのが良いらしいよ」 と言ったのを聞き、なるほど…

パソコンが二台同時に壊れたはなし

「これはいったい、どういうこと!?」 と思わず天を仰ぎたくなるような経験は、きっと誰にも、一度や二度はあるはずです。 私自身にも、これは何の意味があるのか、という、メッセージ付きの出来事が、じつによく起こります。 先日のそれは、メインで使って…

全国レベルの少年サッカーチームを見た

うちの息子が少年サッカーチームに入っているので、週末は、ほぼ試合会場に出向いています。いつもは我がチームの試合が終わればそそくさと帰るのですが、その日は、昨年度の全国大会出場チームが出てくるということで、観戦することにしました。 少年サッカ…