ある日、トツゼンに、人が変わる実例

街や電車で、受験生グループをよく見かける季節となりました。受験シーズンまっさかりというこの時期ですが、ふと自身のことを考えると、ある日突然、受験勉強をはじめたころの記憶がよみがえります。

高校生の頃の僕は、なぜか家に山ほどあった、宇宙人や大予言といったトンデモ本にすっかりはまっていました。大学とか偏差値とかどうでもよく、そのときはただただ地球の未来を真剣に考え込んでいたので、授業中でも『宇宙人はすでに地球にいる』といった本を開き、鬼教師ですら注意できないほど異様な空気を放っていたそうです(同級生談)。

それが高校三年の冬、ある日突然に受験勉強を始めていたのですが、きっかけは、読んでいたオカルト本の記述に英語があり、どんな意味なのだろう、と辞書で調べ始めたことでした。

それからは、まるで宇宙人に遠隔操作でもされているかのように、四六時中、受験勉強にはげみ、なんとか京都の私立大学にすべりこみました。

その大学で、後の人生でもおそらく経験できないであろう、自由な時間を過ごし、いまの会社や生活の基盤をつくったのですから(妻とも大学で出会う)、あの突然の転換が、僕の人生の分岐点であったとも思います。

とはいえ、何の目的もなく、学びたいことも、入りたい大学もあったわけでもない中、ただ、人が変わったように受験に向かっていったのは、いったいなぜか‥‥、自分でもいまだに理解できないのです。

つまりは、このはなし、「ある日突然、人が変わる」との一例であって、なんのオチも教訓もないのですが、こうして改めて考えると、ひょっとして、あのとき突然、受験勉強を始めたのは、ほんとうに宇宙人に遠隔操作されていたのかも、と思ってしまう僕は、けっきょく何変わっていないのかもしれません‥‥。