ほんとうにカッコイイとは、こういうことなのだ

僕はフリーライターをやっていた20代の頃、アジアの子供の人身売買問題に取り組むNPO団体の活動に参加して、事務所で書類づくりなどやっていました。

やがて結婚をさかいに、その活動から離れることになったのですが、最近になって余裕がでてきて、ちょくちょく懐かしい事務所へでかけるようになりました。

その団体は、アジア各地に数十棟もの保護施設や学校などを建ててきた実績あるところですが、もともとは大阪のおばちゃんがたった一人で立ちあげた組織で、事務所といってもおんぼろアパートの一室です。

施設の建設費や活動資金は、当然ながら会員の会費や寄付だのみなのですが、この組織ができた十数年前にくらべ、たくさんの団体ができたことから、会員も減ってしまったので、いま建設している学校が最後になるとのこと。

ところが、昨今の原油高で資材代もあがり、建設費が百万円ほど足りず、どうしようかと困っていたところ、資金面からサポートしてくれたのが、日本人なら誰でも知っている、ある芸能人でした。

コンビニにも行ったことがないようなゴージャス系の“かっこいい”男性歌手、その人が、手にインクがついてしまうような、わら半紙でつくった手作りの会報を毎回欠かさず読んでくれて、何年にも渡り、そして最後の今回も、多額の寄付を送ってくれたのでした。

もちろん、その芸能人は、そんなことをまるで表にはせず、社会派的な顔を一切することなく、今日もステージに立っているはず。

ほんとうにカッコイイとはこういうことなのだ、ということを、表現するために、彼は歌っているような気がします。