知らないうちに、誰かの“天使”になることもある

我が子たちが、2歳と0歳といういちばん手のかかる歳頃のある一時期、毎日のように、我が家に遊びにくる姉妹がいました。うちのアパートの裏に住む当時、小学生の女の子たちで、いま思えば、ほんとうに不思議なほどに、ほとんど毎日のことで、我が子たちの相手をしてくれたのでした。一度、赤ん坊が寝ている隙に、ちょっと夫婦でダイエーに買い物にでかけた際、すごく泣き出した声が聞こえて、姉妹で“救出”にきてくれていたこともありました。
献身的に、無条件に、子どもと接してくれていて、きっとあの女の子たちがいなければ、私たちは慣れない育児でとっくに参ってしまったことでしょう。二人は、まるで、我が家に舞い降りた、姉妹の天使でした。それが、一年ほどたったある日のこと、初めてその姉妹のアパートを訪れ、流行の音楽のCDや女の子が好きな小物とかがいっぱいの部屋を見て、なんだこの子たちも、ふつうの女の子だったんだ、と、よく考えるまでもなくごく当たり前のことに、気付いたのでした。
こんなふうに、人は人生において、一度か二度は“天使”に助けてもらう一時期があるのかもしれません。
そして逆に、知らないうちに、誰かの“天使”になることも。