素粒子(クォーク)のはなしから

深夜3時、いつものように事務所で仕事を終えて(超夜型です)帰宅する際、ちょっとお腹がへっていたら、コンビニでハンバーガーを買い、そのまま近所の公園で食べるのがちょっとしたマイブームですが、ベンチにすわった瞬間とともに、野良猫が4〜5匹、近寄ってきます。
この猫たちも、お腹へってるのかな〜と思っていたのですが、どうやらちがうよう。パンの切れ端を放り投げてもあまりうれしがらず‥‥。野良猫たちは、何かをさがすふりをしながらウロウロし、ベンチに座る僕の膝をまたいで向こうにいくかと思えば、身体をすり寄せてくるのでした。

素粒子クォーク)とは、物質を細分化していった最小構成単位ですが、この素粒子には「観察された瞬間しか存在しない」という特徴があるのだそうです。そして、観察者の意識によって動きが違うのだとか。見る人によってはうれしくなったりして飛び跳ねたりするのでしょうか。
と、この最先端の物理学=難しい話の象徴のような「素粒子」が、なんとも人間らしい存在で、まるで「見て、見て」と言う幼児のよう。
誰かに見てもらえているだけで安心し、生きる意欲がわいてくるのが人間なのだとしたら、その最小単位たる素粒子も同じ性質をもっているというのも、うなづけます。
関心を払う=見ていてあげることは、じつは、もっともシンプルで効果のある魔法なのかもしれません‥‥。
見てもらっていることで力を得て、見ていてあげることで相手の力になれる──、ひとりでは不十分である人間も、なんだかうまくできているようです。
そして今夜も、近所の公園でひっそり暮らしている野良猫たちを、見に行こうと思っています。