「あなたに出会えたこと」という本がある。

「あなたに出会えたこと」という本がある。
 これは、うちの会社ではじめて書店流通させるかたちで出版した本だ。というより、そもそも出版をやるために会社をつくったくらいだ。著者は、立ち上げ時のホノカ社メンバーの4名。

 中を開けば、1ページにほんの数行くらいしか書かれていない。短歌や俳句でもなく、かといって詩といえるほどのものでもない、言葉集だ。

 出版関係者からは「こんな本が売れるわけがない」と言われてきたが、発売2年が経過したというのに、数こそふつうの出版からみればかなり小規模だが、確実に売れていく。

 ときどき、つくった張本人としても、なぜわざわざ買ってくれるのか不思議なときがある。タイトルだけで衝動買いして、中身の真っ白さに驚かれないように、中身のほとんどをネットで公開しているくらいだ。

 自社でオンラインショップをやっているから、買ってくれた人の氏名・住所がわかる。そして、それ以上のことは、わからない。ただ、買ってくれたという事実のみが、手元に残る。

 本をとおした、無言のコミュニケーションというところだ。何十万部売れる本とその著者も幸福だと思うが、こうして、ひとつひとつのやりとりを味わえる本の著者も、また幸福なのである。

 最近、こんな感想をいただいた。

 その意味とのつながりというよりも
 意味以前に言葉自体がそういう感覚を喚起するものを
 もっている。

 12箱あった段ボールが、残り2箱。来年こそ増刷へ!

 「あなたに出会えたこと」
 http://honokasha.jp/book/001/