5歳児の一発芸

 テレビで一発芸を武器に出演する芸人を見るたび、この人はあと何ヶ月持つだろうとか、テレビに出れなくなっても営業で食っていけるかな、とつい考えてしまいます。

 ちなみに、我が家の5歳の娘は「ほのか」という名前のせいか、言葉数も少なく、天然気味かつ引っ込み思案な性格なので、一発芸というか、一発ネタを教え込むことにしています。
 
 最近、開発したのは、英語で、ワン、ツー、と数字を数える際に、(そんな機会を無理矢理つくる)、スリー、フォー、ファイブ‥‥セクシー、と言うネタで、5歳児の舌足らずの口調で聞くと、たいがいの大人は意表をつかれ、大笑いしてくれるのです。

 こうして人を楽しませることを覚え、すこしずつ前に出ていけるようになれば‥‥とのささやかな親心であったりします。

 とはいえ、5歳児ゆえか、一度、味をしめた後は、新たにこのネタを使うチャンスが訪れるや、ワン、ツー、セクシー、と先を急いでしまうことも。いまのところ、成功率は50%くらいでしょうか。初期の宇宙ロケット発射実験くらいの確率です。

 ちなみに、半年ほど前のネタは、娘自身が考えた、会話の途中にとつぜん、何の関係もなく「‥‥ゾウ」と言うシュールなもので、こちらは、いつしか自分自身がそう言っていたということすら忘れてしまったようです。

 ある晴れた日の、彼女のつぶやき‥‥。
「きょうは、あんぱんまん、そら、とんで、ないなあ」

 5歳児にして完成の域に到達しつつある天然具合は、この先どうなっていくのか‥‥将来が心配のような、楽しみの毎日です。