やっぱり人間をつくろう!
古今東西の神話を読んでいると、この、今回のエッセイのタイトルである、人間というものをつくっていいかどうか会議している神様のはなしが出てきます。
雲の上の神様たちが、さまざまな動物を作った後、最後に、さて人間をつくるべきか、どうしようかと悩みぬく、という感じの寓話ですが、もちろん、「人間なんぞ、つくっちゃいかん!」という神様もいたりするのです。
もしや、この会議で否決されていたら、我々人間はこの宇宙に存在していなかったことに‥‥なんて想像しながら読むとおもしろいです。
もちろん、紙一重のところで、「やっぱり人間をつくろう」と、神様たちがポジティブ?な決断を下して終わるストーリーなのですが、ここにこめられたメッセージとは、人間自体が紙一重の存在だということかもしれません。
世には、誰もが売れないと思ったヒット商品や、何度も没にされたベストセラー小説が、無数にあります。
この紙一重のところこそが、一番搾りエッセンスのように、すごいものが凝縮されて詰まっているのかもしれないとも思うのです。
ともかくも、人間自体が、ほんとは<存在>しなかったかもしれない存在である、ということをふまえれば、なんだかどんな迷い事も悩み事も、小さなものに思えてきます。