こうして走ることはけっして無駄でも愚かでもない‥‥

ハムスターは、1日5キロ走る、と言われています。カゴの中の、車輪の中で走る距離です。

先日、寿命を全うして手厚く葬ったのですが、我が家のハムスターも、5キロほどではないものの、真夜中にコロコロと音を立てては、回っていました。
 この、どこへもたどり着かない車輪をひたすら回すハムスターの姿というのは、無駄で愚かなことの比喩にされることが多いのですが、我が家のハムスターは、この人間がしくんだ?車輪を、どこか納得した上で運動不足解消にコギコギし、疲れたらすぐやめるといった様子でした。

と、そんなマイペースなペットでしたが、うちの娘がまだ小学生になり立ての頃、一人で留守番をしているときに、このハムスターくんにどれだけ助けられたかしれません。

夕方、家に帰ると、ハムスターのカゴを枕元に寄せて眠っていた、ということもありました。

ちなみに、動物の遠隔リーディングをできる人に見てもらったところによれば、我が家のハムスターは、それなりに私たち家族のことが気に入って、居心地よく暮らしているとのことでした。飼い始めてからのこの何年か、家族の一員であり続けてくれていたのでした。

振り返れば、亡くなる数日前、我が家のハムスターは、老いた身体にむち打つように、ひたすら車輪を回していました。あのときの、哲学者のようなオーラを放って車輪の中をかけていた姿が、目の裏に残ります。

こうして走ることはけっして無駄でも愚かでもない‥‥とでも伝えているような、死に際の走りだったのでした。