それは、まったく想定外の死角に‥

テレビのバラエティ番組は、くだらないから半ばバカにしていた頃もあったのですが、スピ的な視点で観るようになると、ものすごいメッセージであふれることに気付きます。

先日のとある深夜の番組で、「恋人がいない男女50人」が出演するテーマの回があり、イケメンで東大生だというのに「人を愛することができない」という文学青年らしき男性が登場していました。

司会のマツコ・デラックスは、鋭い切り口のトークでその素人男性を追いつめますが、最後に、

「そんな難しく考えないで、この中で好みの女性をひとり、見つけてごらんよ」

と切り出すと、その東大生の男性は、数十人の中から、コスプレ好きという色白で赤縁メガネの茶髪女性を指名します。

そして、その女性のいちばんのお気に入りコスプレが「不思議の国のアリス」だと聞くと、男性は「じつは、僕がいちばん好きな作品が、アリスなんです」と驚きながら語り出すという、奇跡的な一致が、この深夜テレビ番組内で流れたのでした。

その後、連絡先を交換するだのしないだとのいう感じで番組は終了しましたが、これは、運命の出会いをあきらめかけている人たちへのメッセージなんではないか、と番組を観て、僕は、思ってしまいました。

テレビには(もちろん、ニュースもドキュメンタリーもバラエティも)、たくさんのメッセージがあふれているのだとしたら、現実世界における、美しい出会いのチャンスもまた、誰にでも、道ばたに転がっているくらいにあるのかもしれません。

ただ、それは、まったく想定外の死角にあるのかもしれません。

それにしても、「アリス」という出会いの鍵を、文字通りの文学作品と、コスプレでつなぐなんて、神様はなんとおちゃめなんでしょうか。