《複雑な方が最先端でスゴい》は古い!

十代の頃は、しゃにむにSFの映画やマンガを見て、宇宙に思いをはせていました。ストーリーはもとより、宇宙船にのって宇宙を旅する、という設定自体に憧れたものでした。
それが、最近になって、当時夢中になっていたSF映画を観直し、宇宙船の操縦席を見ていると、ちょっとした違和感を覚えました。
宇宙という広大で未知な空間を、光よりも早く移動するための宇宙船には、たくさんのボタンや計器がで埋め尽くされている、操縦席が、当然あります。おそらくは、ジャンボジェット機の操縦席をイメージしていると思われます。
複雑で、専門的で、訓練された者しか操縦できない、特別な席といった感じです。
けれど、もし銀河をこえるほどの宇宙船ができたならば……、そのコックピットはかぎりなくシンプルなはず、と思うのです。
たとえば、計器はあっても必要なときだけ表示されたり、ホコリが入り込むような凹凸のあるボタン類はないでしょうし、取れては操縦不能になるレバーなどはないはずです。
操縦席という決まりきった場所などなく、どこからでも船を操れたり、そもそも操縦するという感覚自体、ないものなのかもしれません。
と、こんなことを考えていると、これは、たぶん毎日、スマートフォンタブレット端末を使っている影響だと気づきました。
ボタンがひとつしかないスマホを指で触れ続けているうちに、《何かを操る》感覚が変わり、ついでに、未来を見る感覚まで変わってしまったのかも!?と思うのです。
未来の宇宙船の操縦席が、どんなものなのかは、もちろん、知るよしもありませんが、ともかく現時点でも《複雑な方が最先端でスゴい》という感覚が、過去のものになったのは、まちがいなさそうです。