リンカーンが人生で最も影響を受けた本

一冊の本が、世界を変えることがある。これが、けっして大げさではないという話があります。
奴隷解放を成し遂げたアメリカ大統領リンカーンは、人生で最も影響を受けた本として、ある手記を挙げています。
それは、1815年、コネチカット州の商業船がアフリカ西海岸に難破、船長と部下は現地人の奴隷となり、殺人、飢餓、厄病と、ありとあらゆる試練に遭遇するという実体験をつづった本でした。
つまり、白人が黒人の奴隷になるという“逆転”が描かれていたわけです(ヒストリーチャンネルの『サハラの骸骨』という番組で紹介されているので、興味ある方はスカパーやケーブルTVで)。
その本を読んで、リンカーンは、奴隷がどんな生活を送り、どんな気持ちで生きているのかを実感し、解放運動へと力を尽くすことになりました。そして、奴隷解放の動きは、世界中へ伝播していくのです。
白人が黒人の奴隷になる、というケースは、きっとそれまでもあったはず。しかし、それを本にして伝えることで、世界を動かすきっかけをつくったといえます。本づくりに関わる者として、いつも心にとめている話でした。

先日の深夜、新しいアメリカの大統領の就任スピーチをテレビで観ました。プチ歴史マニアであった私としては、まさか自分が生きているうちに、黒人の大統領が誕生するなんて、など思いもせず。
ちょっと早口なオバマのスピーチの同時通訳を、なんとか耳で拾いつつ、ふと、テレビの画面の「第44代大統領」が目に入りました。
エンジェルオラクルカードなども、この数のセットであるように、44といえば、天使の数字です。
世界的な経済危機の昨今、今のところ直接の影響もない自分自身も、なんだか不安になるときがあるのも確かですが、でも、この瞬間、“ここにいるよ”のサインを受けとったような気がしました。