「星の王子さま」とはつまらない物語の条件を満たしたすごい本だ

 1.起承転結がない
 2.わかりにくい
 3.恋愛がない

 誰でも知っている、何十年も読みつがれて全世界で親しまれている、ある物語の特徴を挙げてみたところ、これはつまり、面白くない物語の特徴と重なるのでは、と、ひとり発見しておりました。

 というのも先日、「星の王子さま」の映画版を観たのです。新訳版が続々出版され、本で読んだ人は数多いと思いますが、映画で観たという人は少ないのでは。

 その映画の出来といえば、ミュージカル仕立てにして映画なりの変化をつけているものの、やっぱりあの独特の物語を映像化するというのは無理があったなあという感想。結果として、「星の王子さま」という物語の奥深さを再認識した次第です。

 冒頭の3つの特徴とは、もちろん「星の王子さま」の本のそれです。
 読者をまるで無視し、つけはなしたかのようなお話にみえて、ほんとうに自分が書くべきことを書いたからこそ、唯一無二の物語となしえたではないか、と思い、あらためてこれから自分が何をしていくのかを考えた、年度の変わり目の一日でした。

 そして、ひそかに和製『星の王子さま』を目指して、書き上げた自作『世界でいちばん美しい景色のはなし』は、今日、入稿。